implant
インプラントとは
インプラントとは、残念ながら歯を失ってしまった部位に、主にチタン製の人工歯を埋め込み、その上に土台と被せ物を装着することによって機能的にも審美的にも回復させるための治療のことを言います。
歯根部(インプラント体)
土台(アバットメント)
被せ物(上部構造)
この3つのパーツで構成されています。
・入れ歯に抵抗のある方、痛い、合わない方
・ご自身の歯のようにしっかり噛みたい方
・いわゆるブリッジのように両隣の歯を削りたくない方
・自然な見た目にしたい方
・時間費用がかかってもしっかりと直したい方 etc…
ブリッジ | 入れ歯 | インプラント | |
図 | |||
機能性 | 〇天然歯とほぼ同等 | ×噛み心地が変わる | 〇天然歯とほぼ同等 |
審美性 | △金属部分が目立つ場合がある | △種類によってはばねの部分が目立つ | 〇天然歯とほぼ同等 |
保険適用 | 適用可能有 | 適用可能有 | 適用不可 |
インプラント治療を受ける前に
インプラントを正しく長持ちさせるために、術前のお口の中、及び全身の健康状態の精密な審査診断がとても重要な要素の1つで、場合によりすぐに治療ができなかったり、お断りせざるを得ない場合もございます。
インプラントのメリット
・固いものが噛める
・隣の歯をを削る必要がなく力の負担も少ない
・他の歯の需要が伸びる
・違和感が少ない
・自然な見た目になる etc…
インプラントのデメリット
・治療期間、費用がかかる
・手術が必要になる
・術後、痛みや腫れ等の不快症状が出ることがある(保険適用外)etc…
インプラントに関係する全身疾患について
・免疫疾患
・血液疾患
・糖尿病
・高血圧症
・肝臓・腎臓疾患
・骨粗鬆症
・アレルギー疾患
・悪性腫瘍
・成長期・高齢
手術時及び手術後のリスクを回避するため、主治医とよく相談の上、インプラント治療の可否や対策が必要となります。
(投薬によるコントロールがある場合、治療が可能なこともあります。)
インプラントに関係する口腔内環境について
・歯周病
・むし歯
・かみ合わせ
・顎や歯槽骨の骨不足
・喫煙
術前に問題点を改善させる必要がある場合があります。
歯周病
歯周病が進行していると、他の歯が抜けたり、インプラントと骨の結合がうまくいかないことがあります。
そのため、インプラント手術を行う前に、必ず歯周病の治療を終えることが重要です。
喫煙習慣
喫煙によって歯茎の血行が悪くなり、創傷治癒が遅れたり、インプラントと骨の結合が阻害される可能性があります。
インプラント手術後の1〜2ヶ月は禁煙することが推奨されます。
糖尿病
抵抗力や免疫力の低下により歯周病のリスクが上昇します。
また、インプラントと骨の結合においても骨吸収の量が増え、インプラントが取れるリスクが高まります。
ただし、血糖値を適切に管理することで、治療が可能になる場合もあります。
当院で使用するインプラント
ストローマンガイドシステムとは
ストローマンガイドシステムとは、CT等によりコンピューター上でより精密な審査診断を行い、最も適切な位置、深さ、角度にインプラントを埋入することが可能となり、より高い信頼性と予知性を持った処置を行うことが可能になりました。
骨が不足した場合
歯周病の進行や長期間の歯の抜けた状態が、骨量の減少を引き起こし、インプラントの埋入が困難になることがあります。
ただし、当院では骨を補うためのさまざまな処置を行うことができますので、骨量不足の方はご相談ください。
1.GBR(骨組織再生治療方法)
骨が不足している箇所に、ご自身の骨や人工骨を混ぜた充填材を使用し、その上にコラーゲン製の人工膜(メンブレン)を被せることで骨再生を促します。
この手法は補助的な治療法であり、インプラント手術と同時に行われることが一般的です。
骨再生には約8ヶ月ほどの時間がかかる場合があります。
2.ソケットリフト
歯を抜歯した後に、歯の根元の骨が失われた状態である歯槽骨の欠損を補うための治療です。
比較的少ない量を補う処置となります。
3. サイナスリフト
十分な骨の高さが上顎にない場合、上顎底に骨補填剤を埋入して骨の再生を補う方法です。
多くの骨を補う場合の処置となります。
インプラントにおける静脈内鎮静法とは?
インプラント手術の痛みへの不安感や緊張感が強い方には、静脈内鎮静法をおすすめしています。静脈内鎮静法では、鎮静作用のある薬剤を静脈内に点滴で投与することで、眠ったような状態をつくりだします。静脈内鎮静法を行うことにより、過度な緊張感や不安感を抑え、リラックスした状態で、インプラント手術を受けていただくことができます。
静脈内鎮静法は、全身麻酔と異なり呼吸管理の必要はなく、回復も早いため、入院ではなく日帰りで実施することができます。うとうとと眠ったような状態ではありますが、完全に意識を失うようなこともなく、受け答えもできます。
静脈内鎮静法には痛みを抑える鎮痛作用はないため、局所麻酔と併せて痛みを抑えながらインプラント手術を行います。インプラントの本数が多く、手術に時間がかかると思われる方や、インプラント手術に対する不安や緊張が強い方、過去の歯科治療や手術で気分が悪くなったり吐き気を催したりした経験がある方には、静脈内鎮静法でのインプラント手術がおすすめです。お気軽にご相談ください。
静脈内鎮静法のメリット
静脈内鎮静法には、以下のようなメリットがあります。
リラックスした状態で手術、処置が受けられる
手術や処置に対する過度な不安感や緊張感は、麻酔の効果を薄め、痛みを感じやすくさせてしまうことがあります。静脈内鎮静法を利用することで、鎮静作用で緊張感を抑えることができ、リラックスした状態で手術や処置を受けることできます。
気がついたら手術、処置が終わっている
静脈内鎮静法により、うとうとと半ば眠ったような状態となるため、気がついたら手術や処置が終わっているということもあります。思ったよりも早く、あっという間に手術や処置が終わったと感じる方も多いです。
健忘効果で嫌な思い出を残さない
静脈内鎮静法は、完全に意識を失って眠った状態になる全身麻酔とは異なり、手術や処置の間も受け答えができる程度で意識はあります。しかし、静脈内鎮静法では、手術や処置後はほとんど手術や処置の出来事を覚えていないという効果があるため、嫌な記憶やトラウマが残りにくくなります。
静脈内鎮静法のデメリット
静脈内鎮静法には、以下のようなデメリットが考えられます。
・比較的短時間ではあるが、回復の時間が必要
・鎮静作用の効果には個人差がある
・呼吸が浅くなったり、血圧が下がったりすることがある
・費用がかかる
静脈内鎮静法では、患者様ごとに薬剤量などを調整しながら鎮静剤を投与しますが、鎮静効果には個人差があります。また、回復に時間のかかる全身麻酔とは異なり、比較的短時間で回復しますが、回復の時間は必要です。
静脈内鎮静法による手術や処置を行ったあとも、鎮静効果がしばらくは続くことが考えられ、ふらつきが見られたり、注意力や判断力が低下したりするおそれがありますので、当日中の運転などはお控えいただくよう、お願いいたします。
インプラント治療の流れ
1. カウンセリング/画像診断
インプラントが適応されるかどうかを判断するために、カウンセリングやレントゲン・CT撮影を行います。
2. 術前処置
虫歯や歯周病がある場合、治療を先に行う必要があります。
3. 一次手術
局所麻酔を使用し、インプラントを顎の骨に埋入します。
4. 治癒期間
インプラントと顎の骨が結合するまでの数か月の治癒期間が設けられます。
通常、3ヶ月から6ヶ月程度かかります。
5. 二次手術
治癒期間後、顎の骨と結合したインプラントに接続部(アバットメント)を取り付けるための手術を行います。
6. 人工歯の製作・装着
二次手術後、歯肉が回復したら歯型を取ります。
一人ひとりに合わせた人工歯を作製し、取り付けます。
その他の治療法
一回法
一回法とは、歯肉を切開してインプラントを埋め込む手法ですが、特徴的な点は、インプラントがアバットメント(接続部)と一体化していることです。
この方法では手術が一度で完了するため、手術時間が短縮され、患者の負担が軽減されます。
インプラントを埋め込むためには、十分な骨が必要です。
骨移植や骨造成を行う場合には、二回法よりも感染のリスクが高まる可能性があります。
フラップレス(無切開・無剥離)
フラップレスの手法では、術前の詳細な検査(CT撮影)によって、インプラントを最適な位置に埋め込むために必要な歯肉の切開を最小限に抑えることができます。
この方法の利点は、治療時間や治療回数の短縮、出血量の軽減、術後の腫れや痛みの軽減などです。
マイクロスコープ、拡大鏡の使用
視野をより拡大、明瞭にし、より正確な処置を行います。
治療後の注意点
セルフケア
インプラントの大敵である歯周病を予防するために、毎日の歯磨きが非常に重要です。
インプラントは天然歯と異なり、歯根膜がないため、血液循環も悪く感染しやすくなっています。
医師の指示に従った正しいブラッシング方法を身につけましょう。
歯ブラシ以外にも、歯間ブラシやデンタルフロス、洗口剤の使用も効果的です。
プロフェッショナルケア
インプラント治療後にケアを行わずに放置すると、インプラント周囲炎などのリスクがあるため、治療後も定期的に歯科医院に通うことで病気の早期発見が可能です。定期的な検診とクリーニングを受けることをおすすめします。